小学校学習指導要領解説(外国語活動編)を読んで、「コミュニケーション」という文字が25ページ中110回も出てきて驚いた。

[twitter:@EnglishSquare]さんのツイートで知った1月30日に行われるNeLLie’s ELT Festival大阪に参加予定なので、自分の意見だけでもまとめてから参加しようと思い、学習指導要領を購入して読んだ。<構成>

  • はじめに
  • 疑問 1:で、「コミュニケーション」って何(;´Д`)?
  • 疑問 2:1年で35時数しかしないのにこんな目標たてたの?
  • さいごに
  • はじめに

初めて学習指導要領手にしたけど¥72とお手頃価格!
でもその値段も納得の薄っぺらさ。
だって、計50ページあって外国語活動に関する記述が25ページで
残り25ページが付録ってどういうこと(;´∀`)
まぁこれから開始するんだから仕方ないってことなのかな。


で、読み始めたらもぅなんだかなァ(;´Д`)って感じっす 。
なんか大学生がレポートの字数稼ぐみたいに同じことを違う言い回しで書き連ねてるだけ。
手っ取り早く小学校における外国語活動の概要知りたい方は
pp.34,35の2ページを読めば終了です。
はい、2ページですw


  • 疑問 1:で、「コミュニケーション」って何(;´Д`)?

指導要領が言いたいことは

    1. 体験的
    2. 国際理解
    3. コミュニケーション

= 体験的なコミュニケーションを通して国際理解を図る
この3つのゴリ押しです。


まずは言葉の定義無しに進んじゃダメでしょう。
(この際、「生きる力」はスルーしますΣ(´∀`;))
問題は「コミュニケーション」という言葉の曖昧さ。
「コミュニケーションの定義は1つじゃない!」って言われたらそうなんだろうけど…


まずは、私の考える「コミュニケーション」とは1月23日にツイートしたのだが

結局全部コミュニケーションでしょ。全部の後ろ側に人が立っているわけだ。人に書かれたものを読んで、人が話しているの聞いて、人に向かって話して、人の言っていることを聴く。全部コミュニケーションなんだよ(´ε` )
posted at 02:00:00

つまり、
「正確に読んで、書いて、聞いて、話すことができる能力」って言うと字数多いし、
長ったらしいので、ここは「コミュニケーション」と言っておこうってな具合。


よし、この考えを装備して指導要領に挑もう!
と思ったら、残念ながらこの学習指導要領本体には記述は皆無(;・∀・)why?
コンセンサス取りにくい議題を挙げるなら、
まず文科省の考える「コミュニケーション」が欲しかったなぁ…
従って、110回もコミュニケーションって言われても
私は110回「だから何?(;・∀・)ハッ?」となっただけでした。


で、自分で調べましたよ。
文部科学省曰く

4技能を育成するための指導がバラバラに行われていることが問題。読むことと話すことが結びついておらず、文法は別に教えられており、文法を活用できないという現状がある。4技能を総合的に指導し、コミュニケーション能力の育成を図ることの意義は、4技能を総合的に学習することで、使える、発信できるということにあり、そのことを明確にすべき。

つまり、文科省様もコミュニケーション=4技能を指しているわけだ。
じゃあ私と同じ考えを持っていて安心だ ( ´∀`)bグッ!


ん…
待てよ…
これ小学生対象にできるか?
いやいやこれができる外国語話者ってなかなかいませんよw


高い目標を掲げることは悪いことじゃない。
ただ高い目標を掲げて、そこに向かって歩き始めるのはいいけど、
文科省君はまだ小学校英語ビギナーなんだから。
「俺、登山始めるわ。目指すはエベレスト!みんな付いてこい!」
ってビギナーに言われても、こっちはどん引きですよ…


だから、もう「コミュニケーション」って言葉は既に形骸化してしまっている気がするんだな。


  • 疑問 2:1年で35時数しかしないのにこんな目標たてたの?

まず1年間で35時数ってヤバクない?
1時限が45分って考えると、45分×35回=1575分
1575分って聞こえがいいけど「タウリン1000mg=1g」のように
1日って60分×24回=1440分だから…
1575分=1日チョイ…( ´∀`)
つまり睡眠時間差し引いても1年間で1日半くらいしか英語の授業ないってこと。


いやいや。
1年で1日半は少ないでしょ。
いくら吸収が早い時期だからって、これだけで登山できないっしょ!
外国人と3日(1日半×2年)一緒に過ごしたからといって
体験的な国際理解をコミュニケーション通してできるかっていったら常識的に無理なんじゃないのw


  • なんでそんなに見栄っ張りなの!?私が考える小学校英語の目標設定。

そもそも外国語活動新設の趣旨として「中学校との円滑な接続」(pp.5)とあるなら、なんでその本質に焦点を当てないんだろう。

中学校に入って最低限身につけていて欲しいスキルって
私が思いつく限りでは

    1. 音声やリズムが日本語とは違うことを理解している。
    2. 曜日や月などシーケンスのある簡単な単語を4技能で使えて理解している。
    3. アルファベットが正確に読める、書ける。


1.はチャンツやリズムの指導を音楽と絡めて導入することは小学生には親しみやすい項目だと思う。
(ちなみに私は小学校の時、歌を歌うなんて恥ずかしくてしたくなかったが、少なくとも聴いていた音楽は今でも身体に染み付いている)


2.に関してはチャンツを絡めて新しい知識の導入。また、「普段使ってない外国語の難しさを体験する」(p.10)とあるのでまぁ良しとする。


3.に関しての記述が全くなかったのは本っっっっっ当に残念でした。
スムーズに中学校で英語始めたかったらアルファベットを書ける、読めるは必然でしょう。
私は中学で初めて英語に触れたけど、漢字練習よろしく、ペンマンシップでひたすらアルファベットの練習させられました。
それがなくなるだけでもいいと思う。
それとも、もう最近の小学生は全員パソコンとかのおかげでアルファベットは余裕なんですかね…
それでも、なかには「pとqとb」の違いがわからない友人もいたので、
こういうことは早期導入によって是正されるんじゃないかな。


この3点が2年間70時数で実現可能な項目だと思うんです。
あとは「コミュニケーション」という名目で+αの情報や知識を与える程度でいいと思うんですよ。


な の に
早期導入=いろいろできる
って考えたのか知らないけど、あとのせサクサク感が否めない。


だから学習指導要領内容に6項目もいらん!!!
6項目のうちやるべきこと、いや、できることは1項目だけ

(1)外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに、日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気づくこと。 (p.34)

これを軸に上記の3点がクリアできれば、外国語学習の導入は成功なんじゃないですかね。


  • さいごに

他にも疑問点はいっぱいあるけど、長くなりそうなのでストップ。
結局4技能とかいいつつ、
オーラルコミュニケーションしか考えてないんだなとガッカリしました。


もちろん、学習指導要領が全てとは言いません。
ただ、これに沿った検定教科書で授業が行われる。
そこからアレンジするのが教師の力量ってもんです。


一応、私なりにこの指導要領の内容に沿った指導アイディアを考えてみたのでそれは次回記載してみます。